移りゆく季節の中で、変化というモノは目に見えない。

 それが想いという不明確なモノであるのならば尚更だ。

 気が付くと、曇り空は青へと戻り、太陽の眩しさを思い出すように。

 気が付けば、私は手放したはずの、心の在り処を見つけてしまった。

 けれどそれはどんなに願っても、永遠にはなり得ない。


 晴れ渡る空はやがて、夕暮れに移り、夜へといざなうのだ。




















 ―― それは前触れもなく、唐突にやってきた。

 幸村が倒れたという報せを聞いたは、急いで病院へと駆けつけた。
 病院へ入るのは何度も経験しているから、静かにしなければいけないことは重々判っていた。
 それでも彼女を困惑させるほど、その報せは悲痛なモノだった。
 正面玄関から廊下を駆けて、自分でも珍しいほどに受付で巻く立てて居場所を尋ねる。
 やってきたのは手術室の前の廊下で、そこには立海のメンバーが揃っていた。
 息を切らせてきたに、皆は一様に表情を固くしている。
「…蓮二……幸村、は…?」
 数秒か経って彼女は不安そうに、柳に訊く。
 すると彼は黙ったままゆっくりと無機質な扉の上で点滅する、『手術中』という文字を見上げた。
 は思わず込み上げる衝動のまま扉へと駆け出そうとしたが、真田に腕を掴まれる。
 非難しようと見上げた彼は、普段以上に真剣な眼差しをしていた。
「――アイツなら、大丈夫だ」
 それを聞いて、は息を飲むように顔を歪めた。
 今は、彼の強さが羨ましかった。
 でもそれを悟られたくなくて、彼女は表情を隠すように俯く。
 まるで溢れ出しそうな感情を押し込めるように震えている彼女を、真田は少し躊躇って後、その細い肩を引き寄せた。
 他の者達も掛ける言葉が見つからないのか、ただ黙って。
 幸村の無事を祈ることしか出来なかった――。










 沈みゆく夕陽の色に似て